絵2


僕がいる。

私は、そのことを自分に知らせたいんじゃない。

しいて言うなら、僕への合図だ。

なぜって、いまここには私と僕、

あるいは僕しかいない。

そして僕は、あなたには会ったことがない。








絵3



けれど、いつか。

いつかあなたはここに現れるのだろう。

このページが開かれることがあれば、

そのとたんに、あなたは出現する。

ようこそ、と僕。








絵4




ようこそ。

僕の目があさってのほうを向いていると思ったので、

私はあわてて向きを変えてみるが、

それも見当違いかもしれない。

僕は、あなたとの幸福な出会いを疑っていないようだ。

私から聞くあなたの話に目を輝かせ、

思いをめぐらせながら、すごしている。






絵5



初めて、
僕と出会ったのは、いつのことだったろう。

私があなたになれないこと、
私でしかないことを悟ったとき? 

それまで私は、僕の存在を知らなかったし、
あなたにも自由に会えるだけでなく、
なれるつもりでいた。

今はあなたになれるどころか、
面と向かって出会える可能性さえ
危ういと思っている。

ただ、僕がいてくれることで、
あなたに出会える確率が上がる気がしたのを
覚えている。

単なる気のせいかもしれないが。







絵6



とにかく。

僕がいてくれなければ、
私はここに現れ出ることさえできない。

つまり厳密にはここで使っている「私」とは
「僕」のことなのだ。

どう言い換えても、
私自身が現れ出ることはできない。

よってここは、僕がいてくれる場合にかぎって、
私が私である唯一の場所だ。

それ以外に私が存在できる場所はどこにもない。

私は、つねに僕とともに生きている。









絵7



そう。

私はいつでも始まりからあとすべてを、
僕に任せるほかはない。

そうだったとしても、私は私だ。

私は僕でもなければ、あなたの一例でもない。

僕があなたに会うことをあきらめないかぎり、
私という夢はつづく。



テキスト・イラストは1998.5.20「TO」寄稿のため制作(冊子120mm×120mm×8P)


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