【地区】2






【地区】2
2017.8.18

「え? え?」
ミムラが地区を散歩していたら、いきなり空から文字が落ちてきたので、慌てて捕まえた。
「やだ、これ、どんどん落ちてくるよ〜」
一緒に歩いていた、ちょっと体表がぬめっとしているだきちゃんの上にも、文字がぺたりと張り付いた。
「どうしたの?」
nobodyがやってきた。
「mymulaかな?」
nobodyはそう言って、落ちてくる文字に手をかざしながら笑った。
ミムラが、少し心配そうにnobodyを見ると、彼は「死」の文字をしっかり握りしめながら、
「地区に落ちてきてるってことは、もうmymulaからは切り離されていると思っていいと思うよ」
とミムラを見ながら言った。
ミムラは文字をかき集めながら、
「そうだね、地区はそういう場所だから。大丈夫だね。mymulaは大丈夫。とりあえず何か対処したみたいだし? これ、またオーブンで焼いたら、みんなのおやつになるかな?」
と言ってみた。nobodyは、ちょっと顎に手を当てて、
「うーん。これはこの前の『死ねばいいのに』と違って、おそらくmymulaの本当の言葉だから、地区ではあんまり美味しいものにならないかも?」
と思案顔になった。
「んー、じゃ、茹でたらいいかな?」
ミムラは文字を食べる案をあきらめない。
「そうだね。いったんあくを抜いて、よーく茹でれば、パスタの代わりくらいにはなるかもね」
nobodyはそれに可笑しそうに答えた。
「いっぱいあるし、じゃあ、そうしよ!!」
「そう言われると、お腹、空いたよ」
「うん!」
だきちゃんは、すっかり文字だらけになっていて、自分に張り付いた文字をとろうと、身体をひねったりよじったりして、ジタバタしていた。
ミムラとnobodyはそれを見て、笑いながら、取り除いてあげて、みんなで地区dへ帰った。
文字は、しばらくそのまま落ち続けていたけれど、役割を追えたのか、だんだんに色をなくしていった。
みんなが帰ったあと、いつの間にかそこへ来ていたサッカーボールは、その様子をただじっと見ていた。