【対話2】






【対話2】


2019.2.10
☆「オモイデ!」(ばふっと抱きつく)
★「はい、今日は何」
☆「トレーニングマッチを観てきたんだよ!」
★「今回の相手は高校生の男子チームだったみたいね」
☆「そう! 久しぶりに男子のサッカーを観たよ〜」
★「私の中にあるのでは、、例えば、真奈美さんと相手選手が並んでいたときに、真奈美さんが半分くらいしか背がなくて、あなたが可笑しがってるのが残ってるわね」
☆「そうそう。でかい!速い!パワフル!」
★「それがどうかしたの?」
☆「あのね、私がサッカーを好きになって最初に自主的に好きになったチームって、1999年のワールドユースに出た代表チームなの。小野伸二選手とか本山雅志選手とか遠藤保仁選手とか小笠原満男選手とか稲本潤一選手とか中田浩二選手とか、まぁ今となってはすごいメンバーなんだけど、すごく伸び伸びプレーしている姿が印象的だった」
★「ふうん」
☆「あ、オモイデの中にはない記憶だもんね。それで2000年に私が発病して、10年間くらいサッカーは観られなくて、2010年のW杯のときに不意にテレビで試合映像を見かけて、いつの間にかまたサッカーが観られるようになってたの。そいで翌年、なでしこジャパンと真奈美さんに出会うんだ」
★「ふむふむ」
☆「それでね、最近、練習見学してると、私泣くじゃない?」
★「そうね。気づくと、つーっと涙が、みたいな笑」
☆「そうそう。それがね、昨日、真奈美さんたちと男子高校生が戦っているのを観たときに、確かに男子の方は、昔、ワールドユースで観てた頃の男子サッカーのイメージの延長だったの。懐かしい感じした。でも、そのサッカーの中に、私が泣く要素というのはないなって、ふと思ったのよ」
★「あら、そうなの。サッカーに対して泣いてるんじゃないってこと?」
☆「うーん。。説明が難しいよね。一方で、ステラの皆さんの中には、やっぱり泣くのに結びつくような何かがあるのよ。それはもしかして女子サッカーの中に?」
★「はぁ? そう?」
☆「ちょっと話が飛ぶけど、私の病気について、糸川昌成先生というお薬の研究をなさっている人が、薬は脳には作用するけれど(統合失調症はよく精神の病気と言われるけれど、本当のところは脳の病気だから)、魂を癒やさないって仰ってるのね。そして病気の回復には、その魂の回復がいちばん重要だとも仰ってるの」
★「ふむ。それは、一昨年から真奈美さんにくっついて長野に何度も通うことで、あなたの魂の深く傷ついていたある部分がいつの間にか回復したのと通じている話かしら?」
☆「うん!!」
★「あれは不思議な現象だったわね。あなたの亡くなった父親のこととつながっているとは言え、あのような回復を全く誰も予想だにしていなかった」
☆「そうだよね。神さまの采配としか。私自身も、予感すらなかった。最初その傷ついた部分が刺激されて混乱をきたしたときもあったし、特に今のような感じで泣いたりもしなかったし。でも、あれは、発病の原因の一つを、おそらく、本当に癒やしてくれたの。ただ、長野に行って帰ってくる、その土地への移動を繰り返すという、その行為によって」
★「それで、それと同じように、あなたが泣くことと、魂が癒えることと、女子サッカーが関係あるって言いたいの?」
☆「うん。。まだ説明うまくできないけど、私が泣くのは、魂が癒えてるからじゃないかって、思うの。本当にはまだよく分からないんだけど」
★「それが、サッカー全般からではなく、女子サッカーだからだと思うわけね?」
☆「うん。。」
★「それって、女性というものに対して、何か誤解を生みそうな気もするけれど」
☆「あのね、人間の身体の作りが、女性と男性とあるという時点で、精神的にも、女性性や男性性、もしくは中性性が生まれてくるのは必須だと思うし、ある個人の中では、身体がどうであろうと、男性性も女性性も中性性も、いろいろな配分で存在しているものだと思うの。その配分の仕方にはいいも悪いもなくて、その人自身の一要素として存在するものだと思うのね」
★「それはそうかもしれないわね」
☆「その中で、私の魂が癒やされているのが、女性性に由来する何かなのかなって、思って」
★「でも、女性の他のスポーツには特に感じたことないわよね?」
☆「うん、それは女子サッカーとの付き合いが他のスポーツより長くなってきたことや、真奈美さんの存在も影響していると思うけれど」
★「うーん、やっぱり何か偏りのある考え方のような気がする」
☆「そうかぁ。その癒える感じがね、大雑把に例えるなら、お父さんから得る癒やしより、お母さんから得る癒やしのようなものなのかなって」
★「選手の皆さんをお母さんにするの?笑」
☆「いやいやいや、そんなつもりはなくて、だから例えだってば」
★「その例えも男性性と女性性について、安易に区別しすぎだから、あんまり説得力ないわね。まぁ、いいわ、本当に魂というか病気が癒えてるのならそれでいいんじゃない?」
☆「そうだね。ちょっとね、びっくりしたのよ、男子のサッカーと女子のサッカーが同時にある現場を間近に見て、そう思った自分に。しかも、選手の皆さんが、男子チームと戦う、その闘争心さえ、私にとっては何か癒やしにつながってる気がしたの。闘争心って、何となく男性性に近いようなことだから、何かそれも不思議で。私の身体が女性だってことも、もしかすると関係あるのかもしれない? あるいは、女性の身体を通過して現れる何か??」
★「うーん。正直、私としてはお手上げ。不思議だとか面白いとか思うなら、また機会があったら考えてみれば」
☆「うん、そうする。別にこの認識にこだわるつもりはないし、思いつきを話しているだけだから」
★「女子サッカーに頻繁に触れるようになって、いろいろ考えが浮かぶことは悪くないんじゃない? ただ、あんまり深く考えちゃうと気づかずに泣いたりするような心の余白がなくなって、癒やしのモード?から外れちゃうかもしれないから、ほどほどにね。まぁ、あんまりいい聞き役じゃないかもしれないけど、また聞いてあげるわよ」
☆「ありがと!!」
★「あなたを通過した真奈美さんの思い出がどんどん貯まるから、私としては賑やかになって嬉しいけれど、落ち着かせるのが大変よ笑」
☆「オモイデが、急に大きくなっちゃうんじゃないかって、ちょっと思ったけど、変わらないね」
★「私はいつでもこの大きさよ。それは多分この先もずっと」
☆「あ! 私が抱きつける大きさなんだ、きっと!」
★「え? あら、そうかしら。んー。そうかもしれない。そうそう! あなた、短かったけど、動画、観られたわね!」
☆「え??」
★「ほら、ステラの選手の方々があげてくださったInstagramのストーリーズ、真奈美さんが妙なポーズで踊ってたやつ」
☆「あー!! ほんとだ! 確かに観られた! 全然つらくなかった! 何度も観て爆笑してた!」
★「あげてくださった皆さんに感謝ね」
☆「うん。ほんとだ! 今気づいたよ〜! 今はその他のリアルタイム系の動画や映像観る気持ちにはなれないけど、まず第一歩だよね!」
★「おめでとう。真奈美さんにも感謝してね。それじゃぁね」
☆「うん、また来る」


2019.1.19
☆「オモイデ・・・」
★「はい。おいで」
☆(抱きつく)
★「なんでそんなに泣いてるの」
☆「何度頑張ってもうまく観られないの」
★「試合映像?」
☆「うん」
★「試合映像に限らないでしょ? ニュースやバラエティーの方がきついみたいじゃない。少しのドラマとCM以外はほぼ観られないんだから」
☆「でもさ、もし本当にサッカーが好きで、楽しかったら、観られないなんてこと、ないんじゃないかなって」
★「それで自分を責めてるの?」
☆「もっと、私がサッカーを面白がれたら、乗り越えられるんじゃないかなって思って」
★「勝手な想像だけど、そんなに甘いものじゃないんじゃない? あなた自分が病気だって自覚ある?」
☆「あるつもり」
★「今までいろいろなことがあったわよね、真奈美さんを応援しはじめてから、つまり私が知っている範囲だけだって、ただつらい時間があっただけでなく、声が出なくなったり、電車に乗れなかったり、複数の人と間近で会うのがつらくなったり、真奈美さんに妄想でひどいことを言わせていた時期もあった。そのことが本当に真奈美さんやサッカーと何か関係あった?」
☆「ううん。結局、なかった」
★「そうでしょ。今回も、回復の過程で、身体のどこかが痛がっているか、お休みしたいだけだと思うわよ」
☆「それでも、サッカーが本当に楽しかったら」
★「だから、それが浅はかなんですって。現地に行ったら問題なく観られるんだから、映像を観られないことと、サッカーを観ることとを分けなさい。そうじゃないと、サッカーも楽しくなくなっちゃうわよ」
☆「それがいちばん怖いの」
★「なら、なおさらよ」
☆「難しいよ。映像で試合を思い返したいと思ってもできないんだもの。真奈美さんの肝心な場面ですら、盗むようにしか観られない。記憶だけじゃあまりにも頼りなくて」
★「その気持ちは分かります。でも、それで自分を責めても、余計にきっと悪くなるだけよ。焦らずに、自分のことを静かに待ってあげて」
☆「・・・」
★「泣きたいなら好きなだけ泣いていいけれど。実際、このストッパーがいつ外れてくれるのかは正直誰にも分からないから、残念に思うのは当然だと思う。でもあきらめる必要なんかないし、それに、去年、私はあなたに真奈美さんについていきたいなら勉強しなさいって言ったけど、もっとサッカーを楽しむための方法を考えたり、面白さを分かりたいって思うこと自体は悪くないと思う。問題は、それらを根底で繋いでいるあなたの思考回路よ」
☆「うん」
★「幸い、真奈美さん、近い地域のチームになったんだし」
☆「うん」
★「今までよりずっと負担なく、観に行けるでしょ」
☆「うん。そうなの。映像が観られない今、とても恵まれた環境だよね。周りの方に近くなったねって言っていただいて、確かに頭のどこかでは、今年もギオンスタジアム固定なのなら、ホームの試合にはそれほど大変じゃなく行けそうとまでは思っていたんだけど、移籍したことの方に気を取られてて、本当に近くなったことに気づいたのは、移籍から2日くらい経ってノジマステラのスケジュールカレンダーをぼんやり眺めているときだった」
★「何か書いてあったの?」
☆「ううん。ああ、20日からトレーニングなんだって思ったときに、トレーニングって多分ノジマフットボールパークでやるんだよな、それって年末の皇后杯の試合の合間に、長野がノジマステラとトレーニングマッチをやったとこだな、そのとき、それほど無理なく行ったよなって」
★「そうだったわね。あのときは、長野の、もう退団などが決まっていた昨季のメンバーの方々をたくさん拝見できたし、帰りに昼食を食べたカフェでノジマのサポの方とも偶然にお話できて、いい思い出になった」
☆「そう。あの日のあの場所やノジマステラの印象がとても良かったから、何か今、自分がサポーターの一人に加われることが、とても不思議で、嬉しい」
★「離れることになった長野の皆さんには、ちゃんとご挨拶した?」
☆「声をかけていただいた方とはお話できたのだけど、まだできてない方もたくさんいるの。個別に私から話しかけるだけの勇気がなくて。。長野の新体制もようやく見えてきたし、もう少し落ち着いたら、何か書けたらなって思ってる。どうしてもお話したい方とは、それを引っ張ってご挨拶できたら。。」
★「そう。失礼のないようにね」
☆「うん。そうしたい。ノジマステラの皆さんにもだんだんとご挨拶できたらな。サポーターの方々でもうお世話になっている方もいらっしゃるの」
★「あらそう。ノジマステラは、確かに、なでしこリーグ1部では、総合的に見ていちばん近いチームなのね。真奈美さんにも、もしかしたら今まででいちばん会いに行ける、というか、プレーや姿を見せてもらえるかもしれないわね。感謝してる?」
☆「してる!! 全世界の神さまに。こんなふうに真奈美さんを応援させていただいて、本当に幸せです。ありがとうございますって」
★「皇后杯のときの小さなミラクルが吹き飛んじゃったわね笑」
☆「あ! ほんとだね! そうだよね、これミラクルだよね! でも皇后杯のときのことは、どんなに小さくても私にはとても大事な出来事だったの」
★「それは分かってます。今回のこと、真奈美さんにもちゃんと感謝してますか」
☆「もちろんしてるよ。けど、これは単なる成り行きだとも思っているから」
★「そこを分かっているならよろしい。もしかして、嬉しすぎてまたフリーズしそうなんじゃ」
☆「すごくしそう! 毎日すごいギリギリ。でも、フリーズしてる余裕ないの、もう始動日が来ちゃう」
★「そうね」
☆「楽しみ!」
★「真奈美さんにとっても、充実した楽しいシーズンになるといいわね」
☆「うん! 発表のあった日にお参りに行ったとき、精一杯、神さまに頼んできた」
★「楽しいとか面白いという気持ちは、確かに回復のためのいい力になってくれるらしいわよ。だから、どんなことも楽しむ、面白がるのがいちばん。でもそこから何が起こるかは、分からない。順番を逆にして、何かのアテにはしない方がいいわね」
☆「うん。分かった。ありがと」
★「はい、行ってらっしゃい」