【女子サッカー×ジェンダー】






【女子サッカー×ジェンダー】
2012.7.23
私が、サッカーの世界に触れる際に、頼りにしている存在の一人が、写真家・ノンフィクションライターを名乗っていらっしゃる宇都宮徹壱さんです。

宇都宮さんは、「徹マガ」公式メールマガジンを有料で配信していらっしゃいます(元々メールマガジンですが、しばらく前から、ePubでも読めるようになりました。ePubとは、電子書籍の企画の一つで、スマホだとアプリで非常に手軽に読むことができます)。
公式のアドレスをはっておきます。

http://tetsumaga.com/

たくさんの文字を読めない体調のときもあって、せっかくもらっていても最近はスルーせざるを得ないときも多いのですが。
7月15日号の目次で、元女子サッカー選手で現在もサッカーに関わっていらっしゃる東明有美さんへのインタビューで、「ジェンダー論としての女子サッカー」というタイトルを見て、予告があったときから楽しみにしていました。



女子サッカーを通したジェンダー論というのは、現在、東明さんが通っていらっしゃる大学院での論文として取り組んでいらっしゃるテーマとのことで、最終的には将来その論文を読ませていただくのがいちばんかとも思いますが、インタビューの中で興味深かった点を、自分のメモ代わりに記しておこうと思います。

東明さんがポイントとしていらっしゃるのが、女子サッカーにおいてセカンドキャリアで結婚している女性がとても少ないという点です。
そこに、日本で求められている「可愛い」文化が関係しているのではないか、ということ。それから、なでしこが出たことで「ステキな日本女性のイメージとして、かっこいいという生き方もあるんだ」というのが伝わったのではないかとも仰っています。
私は、女性としてウン十年生きてきて、確かに「可愛い」文化が日本の趨勢を占めているのは感じますが(30代、40代でもキティちゃんにはまったりとか。キティちゃんの場合は子ども時代のリピート行動とも思うので、ただ「可愛い」のと違うか? いや、だからこそ関係あるのか?)、カッコイイ日本女性のサンプルは今までにもあったと思うので、ややなでしこの影響力を強く見過ぎかとも感じますが、理由はともかく、女子サッカーの引退後に結婚している人が少ないというのは意外でした(他の女子スポーツと比べてどうなのかが知りたいところでもあります)。

東明さんは、

男性がサッカーというスポーツにおいては優位に立つのは、悪いことだとは思っていない。というかむしろ歴史的、文化的な背景を見たら、むしろ当然だと思う。ただ、プレーする女性が増えて、そして去年なでしこが優勝して、サッカー界における「男らしさ」「女らしさ」の関係が今後変化する余地があるのかないのか、そこには非常に興味があります。

と仰っています。
「変化する余地があるのかないのか」。この部分は、私もとても興味があります。

ここでちょっと、女子サッカーに関わるジェンダー論として、これとは少し違うアプローチをしていて、これも興味深いと感じた論文要旨をご紹介しておこうと思います。
早稲田大学を出て、現在はフランスのリヨンに所属、なでしこジャパンのメンバーにも選ばれている(ロンドン五輪ではバックアップメンバー)大滝麻未選手のものです。

女子サッカー選手の男性文化化
http://www.waseda.jp/sports/supoka/research/sotsuron2011/1K08A042.pdf

これは、東明さんが、インタビュー上だからというのもあると思いますが、女子サッカー選手を、結婚などを視野に入れた社会的な存在として広く話しておられるのに対して、大滝選手は、サッカーから女子選手が受ける、より個人的なジェンダーへの影響について考えているものと思われます。

このどちらにも、関係者でない私は結論を予想することもできない立場ですし、繊細な取り扱いが必要であるとも思いますが、これは、もしかするとその延長としてサポーターやファンも影響を受ける問題かもしれないとも感じています。例えば宝塚ファンとの比較や、スポーツによる女性性への影響という点から、今後も行方を追いかけながらゆっくり考えていきたい問題です。


このジェンダーの問題に加えて、今後の展開が興味深いと感じたのが、インタビューでの東明さんの言で、

サッカーという競技を、プレーの場としてはもちろんのこと、興業とかビジネスと考えた時に、今後は女性を対象としたプロモーションが必要となってくると思います。

というもの。
選手だけでなく、運営側やサポーターなどそこに関わってくる女性を対象とした、女性の視点の必要性をあげていらっしゃいます。

東明さんは、現役を引退したあとに、29歳で電通のサッカー局に5年勤めたという珍しい経験をなさっていて、入社1年目から、全女のスポンサー営業担当もなさったのだそうです。
そこで女子サッカーの価値について、おそらく様々な考えをお持ちになったであろうことは想像に難くない。
女子サッカー界において、貴重な戦力のお一人なのだろうと思います。



こういう視点で女子サッカーの世界を広げてくれる方が、今後、ますます増えていくことを、外野としても楽しみにしたいですし、外野だからこそ感じ取れる影響・可能性を、拙いながらできるだけ言葉にしていけたらと思います。

この問題をきちんと考えるきっかけを作ってくれた大滝選手の卒論要旨と、宇都宮徹壱さんの東明有美さんへのインタビュー記事に感謝m(_ _)m